2020年12月15日
超省メモリな新アルゴリズム「MST(メモリー・セービング・ツリー)」を開発いたしました
Press Release
“指先大”マイコンへの実装を実現した超省メモリなエッジAIアルゴリズムを開発
エイシング、「MST(メモリー・セービング・ツリー)」を提供開始
〜実装可能領域が従来比5倍超となり、多様なエッジAI活用シーンを創出〜
エッジAIスタートアップの株式会社エイシング(本社:東京都港区、代表取締役 CEO:出澤純一)は、“指先大”マイコンへの実装を実現した超省メモリなエッジAIアルゴリズム「メモリー・セービング・ツリー(Memory Saving Tree:以下、MST)」を新たに開発し、2021年1月より提供開始いたします。
一般に流通する家電製品やスマートウォッチ、自動車などにすでに組み込まれている既存マイコンへ実装可能になり、高精度なエッジAIの多種多様な領域における活用を実現します。
MST搭載マイコンを指先に持つエイシング代表取締役CEO出澤純一
MST搭載マイコンイメージ
エイシングは、大規模な計算環境が必要なディープラーニング(深層学習)とは異なり、導入機器単体がクラウド接続を必要とせず、リアルタイムにエッジ側で学習・予測することが可能な独自のエッジAIアルゴリズム「AiiR®(AI in Real-time)」シリーズ※1を開発・提供しています。当社では常に世の中に存在しない新たなAIアルゴリズムの開発を進めており、2020年よりエッジAIのアルゴリズムに特化した研究・開発専門チーム「Algorithm Development Group(アルゴリズム ディベロップメント グループ:以下ADG)」を設立。“IoT”や“工場の自動化(ファクトリーオートメーション:FA)”といった注目分野で特にその需要が高まっているエッジAIにおいて、革新的な“アルゴリズム”の開発を進めてまいりました。
■“指先大マイコン”への実装を実現した超省メモリなエッジAIアルゴリズム「MST」
エッジAIの導入ニーズが高まるなか、これまで家電製品などに使用されている制御用マイコンではメーカー側の需要が強くあるにも関わらず、処理性能やメモリ容量が低く、エッジAIアルゴリズムの搭載が困難でした。そうした業界の課題を受け、この度当社ADGが新たに開発した「MST」は、一般的な家電製品やスマートウォッチ、さらに自動車にも組み込まれる“指先大”マイコンへの搭載を実現しました。
■Armベースマイコンの92%をカバー、さらに“エッジAI”を身近なものへ
省メモリ化を実現した「MST」を開発したことで、市場の大半の32bitマイコンに対し高い学習・予測精度を持つエッジAIの導入が可能となります。これにより第4次産業革命の推進で重要な産業機械への実装、および生活家電といったさらなる幅広い機械や端末に対して拡げていくことができます。可能実装範囲の一例としては、年間平均220億個※2ものマイコンを世界に出荷している業界シェア34%のArm社が提供するマイコンにおいて、弊社従来アルゴリズムでは「Cortex-A」シリーズが推奨実装範囲だったのに対し、この度「Cortex-R」、「Cortex-M」シリーズも推奨実装範囲になりました。これによりArmベースマイコン出荷台数の約92%※3をカバーすることができ、それに相当するスペックのマイコンにも実装可能となることで、市場の大半をカバーするエッジAIが完成いたしました。
今後、AI業界において注目度が集まるこの“エッジAI”が一般的に使われる技術になることを目指します。また、世界の生活の隅々にまで「エッジAI」を普及させるべく、さらなる革新的な当社独自のAIアルゴリズム研究・開発を一層推進してまいります。
エッジAIアルゴリズム「MST(メモリー・セービング・ツリー)」について
<動画>
<特長>
・省メモリ化と低計算コストを両立
一般的な家電製品やスマートウォッチといった省リソースなマイコンにも搭載可能に
・高精度の学習・予測
超軽量かつクラウド接続を必要としないにもかかわらず、エッジ側での高い学習・予測精度を実現
・リアルタイム追加学習
導入機器本体が自らリアルタイム追加学習を行うことで環境や個体の「変化」に追従することが可能
<実装可能領域>
Arm社「Cortex-A」、「Cortex-R」、「Cortex-M」シリーズなど“指先大”マイコンへも実装可能になり、エッジAIが導入できる領域を大幅に拡大
搭載マイコン例:STM32G0マイコン Arm® Cortex®-M0+ 64MHz, Flash 32KB, SRAM 8KB
従来の当社アルゴリズムが動作可能なSTM32MP1シリーズのボード(左) とMSTが実装可能なSTM32G0マイコン(右)
1円玉硬貨(左)とMSTが実装可能なSTM32G0マイコン(右)
※1 「AiiR® (AI in Real-time) 」シリーズについて
「AiiR®(AI in Real-time)」は、エイシングが独自開発する、クラウド接続を必要とせずエッジ(導入機器)側が独立してリアルタイムな学習・予測を行うことができるAIアルゴリズム技術です。高精度、軽量かつ環境の変化を逐次学習可能という特長を持ち、製造業やモビリティ業界を中心に実装が進んでいます。この他にも、市場のあらゆるニーズに応える当社独自のAIアルゴリズム技術の研究開発を進めることで、「ものづくり」における課題を解決してまいります。
※2:Arm社が公表している2017〜2019年のArmベースチップ年間平均出荷個数。
※3:自社試算
株式会社エイシング
長年にわたる機械制御とAIに関する研究成果を基に2016年12月設立。 2018年8月「大学発ベンチャー表彰2018~Award for Academic Startups~」における、経済産業大臣賞を受賞。2018年3月「起業家万博」にて総務大臣賞、 2017年2月株式会社日本総合研究所主催 「未来2017」最終選考会にて日本総研賞など、数多くのベンチャーアワードを受賞。
代表取締役CEO:出澤 純一
所在地:東京都港区赤坂6丁目19番45号赤坂メルクビル1F
設立:2016年12月8日
資本金:899百万円(資本準備金を含む)
コーポレートサイト:https://aising.jp/
AISing PR事務局:大橋・板橋・山口 Mail:pr@aising.jp